がん予防

自然治癒力、免疫力をアップして、がんにならない身体をつくる

がん発生のメカニズムは、がんはどのような病気なのか?の記事で書きましたが、細胞のミスコピーが原因の一つになっています。
細胞のミスコピーは誰にでも発生しますが、健康な身体を維持している時には、人が本来持っている、免疫力、自然治癒力によってがん細胞を死滅させます。

正常にコピーされなかった異常細胞(がん細胞)は、免疫細胞の働きによって消滅しますが、なんらかの原因によって免疫力が下がった場合、免疫の処理能力では対応できず、がん細胞が残ってしまいます。

身体の中に残ってしまったがん細胞は、異常な増殖を繰り返して、大きな細胞のかたまりとなって、がんとして発見されます。

がん細胞ができるような要因を防ぎ、がん細胞を増やさないことはもちろんですが、人間が本来持っている、免疫力、自然治癒力を低下させないような生活習慣を維持して、がん細胞を増殖させないことが、がん予防に繋がります。

自然治癒力と免疫力

自然治癒力とは人間が生まれながらに持っている、怪我や病気を治す能力です。
自己治癒力とも言われます。
病気や怪我を「自分の身体で治す能力」を自己治癒力、自然治癒力と言います。

自然治癒力の2つの機能

  • 自己再生能力
    身体が傷を負った場合に傷を治す能力です。
  • 自己防衛機能
    身体に外部から侵入する細菌やウイルスと戦う機能で「免疫」と呼ばれます。

二つの機能は連携して、身体にできた傷や、外部から侵入したウイルスと戦います。

免疫系(めんえきけい)

私たちの身体には、免疫システム(免疫系)という、自然治癒力が備わっています。
この自然治癒力のおかげで、さまざまな病気から守られています。

免疫には、生まれながら持っている、自然免疫と、生後、予防接種、感染などによって特定の疾病にのみ働く獲得免疫の二つに分けられます。

免疫とは、体内に分散している細胞のほかにいくつかの器官が連携して構成される免疫システム(免疫系)のことです。

自然免疫

常に、空気中にある微生物から身体を守っています。
身体に入って生き延びた微生物には、血液中を流れる免疫細胞(マクロファージ、NK細胞)が攻撃します。

獲得免疫

自然免疫では、免疫細胞が攻撃する敵は、定まっていません。
全ての抗原(こうげん)に対して攻撃していきますが、獲得免疫では、敵を見定めて、さまざまな殺菌力をもつ免疫細胞が連携し、敵を攻撃します。
獲得免疫の免疫細胞はリンパ球(T細胞、B細胞)です。

血液の細胞の分類

ここで、細胞の分類を整理しておきます。
免疫細胞とは、血液中の白血球のことです。

 血液細胞 赤血球 酸素を運ぶ細胞
白血球 樹状細胞 他の免疫細胞に指示
マクロファージ(自然免疫) 体内に侵入した病原体を食べる
リンパ球 NK(ナチュラルキラー)細胞(自然免疫) 異物を攻撃、がん細胞を破壊する
B細胞(獲得免疫) 抗体を作る
T細胞(獲得免疫) ヘルパーT細胞 他の免疫細胞を活性化する指示をする
キラーT細胞 標的の細胞膜を破壊する物質を放出
レギュラトリーT細胞 他の免疫細胞の活動を抑える指示を送る
顆粒球(かりゅうきゅう) 好中球(こうちゅうきゅう) 殺菌酵素の放出
好酸球(こうさんきゅう) 寄生虫など大型の微生物を攻撃
好塩基球(こうえんききゅう) アレルギーを引き起こす物質を放出

免疫細胞(T細胞)を強化する臓器、胸腺(きょうせん)

獲得免疫は、生後、自身で獲得して強化していく免疫です。
この免疫に関係する臓器が、胸腺です。
他の臓器に比べてあまり聞く機会がないので知らない人もいると思いますが、心臓の上あたりにある臓器です。
免疫細胞のひとつであるT細胞は、骨髄でつくられたあと、胸腺でヘルパーT細胞やキラーT細胞になります。
T細胞の「T」は胸腺(Thymus)の頭文字からきています。
B細胞の「B」は骨髄(Bone marrow)の頭文字となっています。

胸腺は小児期にかけて成長し、思春期に最大になり、加齢と共に縮小していきます。
獲得免疫は、幼少期にかけて「獲得」していくので、あまり清潔すぎる環境で育った子供は風邪を引きやすかったり、アレルギーを起こしやすいと言われています。

こどもの時に、多くの抗原にさらされると、獲得する免疫が多くなり、抗体ができるので、細菌やウイルスにさらされても感染しません。

※抗原(こうげん):体内に侵入して、病気の元となるもの、病原体
※抗体(こうたい):抗原に対する攻撃細胞で、抗原を除去する分子

免疫力とアレルギー

免疫力低下もアレルギーの原因

近年、花粉症などのアレルギーを発症する人の割合が増えています。
春先になると、花粉症に悩まされている人の割合は昔に比べて多くなり、いまや国民的な病気とも言えます。
花粉症の人の割合が増えた原因は、時代と共に変化する生活環境の変化によるものが考えられますが、花粉症になりやすい人は免疫力が低下している傾向があるようです。

免疫力を高めるとは

  • 免疫の機能低下を防いで、細菌、ウイルスから身を守る
  • 免疫機能を向上させて能力を強化する

これらは、自然免疫を低下させない獲得免疫の機能を向上させて、さまざまな抗原に対応できる能力を身につけると言う事です。
但し、獲得免疫については、胸腺が機能している幼少期から成人になるまでにどれだけ免疫を獲得したかによって能力が決まってしまいます。

しかし、免疫システムは自然免疫と獲得免疫が連携して機能しているので、お互いの免疫細胞を活性化させることによって、相乗効果を高めることができます。

免疫細胞の司令塔、樹状細胞(じゅじょうさいぼう)

獲得免疫が効率よく活性化し機能するには、自然免疫との連携が必要ですが、それらをコントロールするのが、樹状細胞です。
また成人の場合、胸腺の機能がなくなっているのでT細胞を強化する事ができないのですが、樹状細胞には抗原を取り込む能力を持ち、T細胞を活性化するので獲得免疫の機能向上がはかれます。

免疫細胞のがんへの働き

体内では、一日に数千の細胞のミスコピーが発生しています。
リンパ球細胞が、がん細胞への攻撃の中心的役割を担っていますが、さらに詳しく見ると、自然免疫のNK(ナチュラルキラー)細胞、獲得免疫のキラーT細胞です。

身体の中で発生した異常細胞(がん細胞)は、NK(ナチュラルキラー)細胞、マクロファージなど自然免疫によって、早期のうちに攻撃され、がんを発症するのを防いでいます。
次の段階でがん細胞への攻撃の中心になるのが、キラーT細胞です。

免疫力を高めるためには

がん細胞を最初に攻撃する自然免疫のNK(ナチュラルキラー)細胞ですが、他の免疫細胞と異なり、加齢や精神的ストレス、食事など生活環境に影響されやすくなっています。
つまり、生活の中で免疫力を高める事ができる反面、逆に不規則な生活をしていたりすると免疫力がさがり、がんのリスクが高くなるということです。

免疫力が低い人は、風邪などにもかかりやすくなります。
また、風邪をひいてもすぐ治る人、なかなか治らなくて長引く人の違いは、免疫力の差と言えます。

NK(ナチュラルキラー)細胞の活性化が免疫力を高める

NK(ナチュラルキラー)細胞を活性化して、免疫力を高めるには、どのようなことに気をつけて、日常生活を過ごしていけば良いのでしょうか?

適度な運動

適度な運動は免疫力を高めます。
心地よく感じる程度の運動です。運動不足もだめですが、過度な運動もストレスとなるのでよくありません
ウォーキング、サイクリングなど体内に酸素を取り込む有酸素運動はストレスホルモンを抑制する効果があります。

充分な睡眠

睡眠を大きく分けると、二つに分けられ、レム催眠とノンレム催眠に分けられます。
レム催眠とノンレム催眠は交互に繰り返されます。

  • レム催眠
    眠りが浅い状態で、身体の神経、自律神経の機能は低下し、身体の眠りと言えます。
  • ノンレム催眠
    深い眠りで、大脳の活動レベルが低下し、脳の眠りの状態です。
    4段階のレベルがあります。
    入眠後、最初のノンレム睡眠の状態では成長ホルモンが分泌されます。
    この成長ホルモンは、成長期の子供に大切なのはもちろんですが、大人でも細胞の成長や修復に大切なホルモンです。
    他にも活性酸素を無毒化する抗酸化作用を持つ、グルタチオンというホルモンも分泌されます。免疫力アップには、質の良い眠りが大切です。
    自律神経のバランスで言うと、睡眠時は副交感神経が優位の状態になっている必要があります。

身体を温める

体温が下がると免疫力が低下します。
ウイルスが身体に侵入すると、発熱によって免疫細胞を活性化させます。
体温が37℃以上になると、免疫細胞は活性化し、ウイルスの増殖を抑えます。

入浴、温泉浴には交感神経に偏った自律神経のバランスを改善する効果があり、身体を温めることは、質の良い睡眠にも繋がります。

笑う

笑う事と、NK(ナチュラルキラー)細胞の活性化には密接な関係があるようです。

笑う事によって、リラックスした状態になるとβエンドルフィンというホルモンが分泌され、これがストレスホルモンの分泌を抑え、NK(ナチュラルキラー)細胞を活性化します。
また、βエンドルフィンはマラソンでの「ランナーズ・ハイ」や性行為、美味しい食事をした時などにも分泌されることが分かっています。
楽しく感じることや、心地よく感じる状態では、NK(ナチュラルキラー)細胞の活性化し、免疫力が高くなります

心の持ち方、ポジディブな思考

「病は気から」ということわざがありますが、確かに気持ちが落ち込んでいる時は、なんとなく体調が悪く感じたり、不安や悩みがあったりするとストレスで体調が崩れてきます。
「プラシーボ効果」という言葉を聞いた事がありますか?
これは効果のない偽薬を飲んだ人も、本物の薬を飲んだ人と同じように、薬の効果が出てくることがあります。
「薬をちゃんと飲んだのだから大丈夫」というような、プラス思考、ポジティブな思考が、自然治癒力、免疫力アップには大切なのです。

免疫力アップの食事

私たちの身体は日々の食事から、必要な栄養をバランスよく摂る事で健康を維持できています。
乱れた食生活は、病気の原因になったりしますが、免疫力を高めるにはどのような食事を摂ればよいのでしょうか?

1990年にアメリカ国立がん研究所が「デザイナーフーズ・ピラミッド」というがん予防に効果がある食材を発表しています。
上の方ががん予防効果が高いとされています。

にんにく、キャベツ、甘草(カンゾウ)、大豆、
生姜、人参、セロリ、パースニップ
たまねぎ、お茶、ウコン(ターメリック)、玄米、全粒小麦、亜麻(アマ)、オレンジ、レモン、芽キャベツ、トマト、なす、ピーマン、ブロッコリー、カリフラワー、グレープフルーツ
メロン、からす麦、きゅうり、あさつき、じゃがいも、大麦、ベリー
ハーブ類(バジル、タラゴン、オレガノ、タイム、ローズマリー、セージ)
免疫力アップは、タンパク質摂取が重要

免疫力を高めるには、タンパク質が必要です。
免疫細胞を作る主原料はタンパク質を構成するアミノ酸です。
動物性タンパク質の魚、肉は効率的にタンパク質の摂取が可能ですが、脂肪分もあるので適度に摂取する必要があります。
脂肪分が多い、動物性タンパク質の摂り過ぎは免疫力を落としますので、豆製品などの植物性タンパク質もバランスよく摂取します。


これらの項目を見て行くと、当たり前と言えば、当たり前なのですが、忙しく毎日の生活をしていると、つい忘れがちになります。

日常生活の中で、睡眠や食事にちょっと意識を向けて、健康な生活を送りたいですね。

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